トミタブログ

この国には、2種の国民が暮らしている

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「もの作りニッポン」
それは多くの人がこの国に持っているイメージであり、誇りだろう。

しかし、グローバル経済の時代、「もの作り」を商売にしようとしたら、
残念ながら日本という国では成り立たないのは明らかだ。

人件費、地代、光熱費やら税金やらさまざまなコストが高い。
それに加えて昨今の強烈な円高。

いくら「もの」が良くても、圧倒的に高いものが売れるわけはない。
“趣味”の世界にいくらか可能性があるものの、
日本メーカーが得意とした いわゆる消費材では、
どう考えてもこの国ではもの作りの商売はもう成立しないのです。

 

じゃぁどうしたら良いのか?

どうしても消費材などのもの作りで商売したい人は、
やっぱり人件費、地代などが安い国に行ってビジネスを続けるしかないでしょうね。

この国としてどうか、とかはまずは考えないこと。
自動車メーカーとして、家電メーカーとして、何とかメーカーとして生き残るにはそれしかない。

当然日本国内の雇用創出にも繋がらないし、GNPにも繋がらないし、
本社も日本に置く必要性はないので税収にも繋がらないけど、それはしょうがない。

だって、国のためじゃなくて、まずその企業が残っていくためを考えているのでね。

「国」というアイマイなアイデンティティじゃなくて、
自分たちが食っていく糧を与えてくれてる「企業」を
第一アイデンティティと考える。そういう価値観で生きるってこと。

そして、良い製品を生み出し、きめ細やかなサービスで対応し、
世界中のお客様に喜ばれ 、結果としてニッポンというブランドを維持すること。

それはもちろん、悪いことではない。
最終的には日本という国を愛することに繋がっていく。

 

一方、企業第一アイデンティティがイヤな人、違和感を感じる人は、
経済中心の考え方から抜け出すしかないと思う。

それはそう難しいことではなく、シンプルな生き方です。

自分の暮らす「地域」を第一アイデンティティとして、
そこで楽しい時間を日々過ごすための活動をして生きていくという考え方。

それが各地で積み重なって、結果としてニッポンという国が皆に愛されるということ。

 

そういう生き方をし始めた人はどんどん増えているし、
そういう生き方をするために、地域にシゴトを起こしている人も増えている。

これまでの“企業に属する”というシゴトの仕方だけじゃなくて、
たとえば食べ物を自分で作ろうとしている人がすごく増えているのも、
食べ物じゃなくても何か日々の暮らしが豊かになるものを作る人が増えているのも、
教育的なこと、エンターテインメントなことが増えているのも、
とても面白いことだと思う。

こういう人たちが生み出しているものは、ほとんど経済には貢献しないんだけど、
食べ物作れば“食っていく”には役に立つし、
その他のことも地域での日常を 楽しくするのに役にたっていて、
それはつまり立派な“シゴト”なんだと思うのです。

だって、シゴトって、シンプルに考えれば、
食べ物を得ること、安全を確保すること、日々楽しく生きられるようにすること…だから。

 

僕はいま、こういう人たちにとても興味があるし、
いまこのニッポンという国に、まったく違う価値観で生きている
2種の国民がいるような気がしています。

さて、この先どうなっていくのか・・・・・

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