トミタブログ

20世紀に戻すための東京五輪にしてはいけない

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日本時間の今朝、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった。

僕は、昭和39年、つまり東京五輪の年の8月26日の生まれで、その後「体育の日」となる10月10日(当時は秋のオリンピックだったんだな)に開幕するオリンピックムード一色の中で、もう少しで“輪太郎”という名前になるところだったらしい。(それも悪くないけどね )

7年後まで無事生きていれば(ちなみに今日は3年前突然死んだオヤジの命日)、2度目の東京オリンピックを体験することになる。

大のお祭り好きとしては、単純に楽しみではある。

一方で、ちょっと複雑な想いもある。

福島第一原発の問題などがある中、この開催決定にネガティブ感を持つ人も多いが、
決まったことに愚痴を言っても始まらない。逆にこれを最大に利用すべきだと思う。

いくつか感じたこと、思ったことがあるので、
想いがフレッシュなうちに備忘にここに書き留めておこうと思う。

***

◎20世紀に戻すための東京五輪にしてはいけない

20世紀は「中央集権」「経済発展最優先」「分業と効率」
そして「マスメディアの時代」「大企業の時代」「中央の時代」

ごく一部の人間が巨大なチカラを持ち、
その他大勢は自分で考えることを放棄して迎合する方向に突き進んだ時代だった。

ようやく、“その時代”の転換点にきたここ最近の時代潮流を、
(特に20世紀に大活躍した主要プレイヤー たちは今だ大きな力を持ち、
その時代に戻したいと必死なので)、逆戻りさせるきっかけになるような
2020東京五輪にしてはいけない。

◎今度の東京五輪で本当に獲得すべきは「外貨」だけでなく「外価」だ

「ほとんど経済しか興味のない人たち」はほっといてもすごい勢いで行くだろうから、
「経済だけじゃない と考えはじめた人たち(自分も含めてね)」は、
経済ももちろん同時に考えつつ、世界の人の「日本、好きだな」という気持ちを
この機会にどれだけたくさん確保できるかを考えなくてはいけない。

いま、世界の人たちがファンになる街は、20世紀に憧れた街とは違っているはずだ。

◎その後の日本の「発展」のストーリーを、新たな価値観でしっかり書いておかないとならない

ではそれはいったいどんな街なのか・・・・

21世紀に、世界のリスペクトを受け、皆に愛され、憧れられる街の「発展」を、
しっかりとストーリーに書く必要がある。

何か具体的な企画を2020五輪がらみでたくさん考え、絵に描く必要がある。

みんな、一緒に考えましょう! ^。^

◎地方は、今こそしっかり準備をし、発信をしていかねばならない。それも内外に!

これについては、2つの視点を書き留めておく。

一つは・・・
私は今回選ばれたのは、「TOKYO」ではなく「JAPAN」なのだと感じた。

これが「福岡」だったら、他の都市の人はますます人ごとになるだろうが、
なにせ日本の首都である。みんなの「東京」だ。

海外の委員だって、同じ思いだろう。

東日本大震災があって、今も苦しみ続けるフクシマがあって、
それを大きな契機に日本全国に(そして世界に)広がった
新しい価値観での生き方、働き方、大事なものの順番・・・
「地元」や「友だち」や「家族」への想い・・・

そのあたりが、世界の他の国々よりも一足お先に
「なんだかすごい所まで行ってそうだよな〜、あのニッポンでは」
と思ったのだろう、IOCの委員の皆さんは。

だから、そこに応える必要があるのだ。
特に地方で。

2つ目は、グローバルな感覚でみた心理的距離感覚の視点を忘れないこと。

2020東京五輪は、世界の人がとりあえず日本にアクセスする大きなチャンス。
それは間違いない。

本当に来る人もたくさんいるだろうし、<メディア>を通じてアクセスする人はもっと多い。

その人たちにとって、トーキョーもフクシマもニイガタもフクオカも、
すぐ近くに違いない。

なんか気になるものがあったら、せっかくだからついでに見ておくかと思う
「ついで」の心理距離に、もちろん日本中が 入っているのである。

◎新たなメディアの発展の好機にしなければならない

1964の東京五輪は、テレビというメディアにとって大きな転換期であった。
イコール日本の情報流通の曲がり角だった。
ここから、情報の発信点が東京に集中し、何もかもが東京に集まって行く契機になった。

今度は、ネットなどのポストマスメディアが、2020東京五輪を、
旧来マスメディアにはない方法論で鮮やかに展開し、
多くの受け手や情報発信の参加者を増やしていく必要がある。

昨夜の開催地決定の最終プレゼンや決選投票〜決定への様子を
ニコニコ生放送が すごい力を入れて中継していて、
多くの新たな視聴者がニコニコの力を再認識しただろう。すばらしい。

ただ、その方法論が従前のテレビの方向性とほとんど同じなのは少々残念だ。
何かもっと、小規模分散型のオルタナティブメディアが伸張するのだろう。
みんながみんな知らなくても、ある種の人たちにすごく強い影響があるメディアが
たくさん存在する形・・・・

これから7年の間に 、ますますテクノロジーは発展し、メディア環境も変化するはず。

2020年の夏、世界の人に東京五輪のついでに、
新しい価値観の国ニッポンを感じてもらうために、
うちの街で何をするか ・・・をみんながそれぞれ考えて、
それを新たなメディアに乗せて国内外の人とコミュニケートする

このために与えられた準備期間が、あと7年。

いや、面白くなって来たじゃないか!
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