放送の名企画に学ぶメディア化戦略④ 日本の元祖ヒーロー「月光仮面」秘話

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「メディア化」支援アドバイザー トミタプロデュース 富田剛史です。

昔のテレビの企画には、“放送型オウンドメディア”を考えていくのにヒントになるものがたくさんあります。

今回も昔のテレビ名企画から、ヒントになるものをご紹介〜その意味や現代での応用編を考えていきましょう

 

仮面ライダーなど、アニメや実写のヒーローものの番組が、雑誌社や玩具メーカーとの連携で制作されていることはよく知られています。マーケティングが高度に絡み合ったビッグビジネスですね。

しかし、そのルーツとも言えるモノクロテレビ時代の伝説のヒーローもの「月光仮面」が、偶然が重なってできたことはあまり知られていません。

 

「月光仮面」誕生の秘話

「月光仮面」は、1958年〜59年にかけて放送された番組で、作者は川内康範(かわうちこうはん)さん。この人がムチャクチャ多才な人で、放送作家、劇作家のほか作詞家としてもヒット曲多数、あの森進一のヒット曲「おふくろさん」の作詞者として記憶している人もいるかもしれません。

そんな川内先生、実は月光仮面の前に、コメディ時代劇「ぽんぽこ物語」という番組の脚本をそもそも担当していたそうです。wikiによれば、これは宣弘社という広告代理店が企画した、10分間の帯番組形式(だいたい平日毎日放送する番組)の「国産初のテレビ番組」ということ。ところがこれが不人気&時代劇なので制作費がかさんでしまい、せっかくついたスポンサーの武田薬品工業が降りると言い出します。

困った宣弘社は、大幅に制作費が安い番組にするので何とかスポンサーを続けてほしいと武田薬品工業を説得したそうで、結局当時の常識の2割以下の予算で面白い番組を制作せざるをえなくなってしまいます

宣弘社は最初は東映などに相談したものの「その金額じゃ無理!」と相手にされず、仕方なく自社で制作会社宣弘社プロダクションを設立して、「ぽんぽこ物語」の脚本を書いていた川内先生に企画を依頼します。

当時日本でもスーパーマンが人気だったようですが、わざわざアメリカから番組を買って外貨を無くすのは国益に反する!と気骨の作家・川内康範は強く思っていたようで、低予算で和製スーパーマンを生み出すプロジェクトがスタートするわけです。

 

主役は大部屋さん!スタッフも全員無名の若者!!

鞍馬天狗のイメージから紆余曲折して月光仮面になるのはいいのですが、何しろ予算がない! そこで、主役にはなんと大部屋俳優(名も無きその他大勢の役者さん)を抜擢し、監督は26歳の若者スタッフも全員無名だが番組制作の意欲に燃える若者を集めて制作がスタートしました。

ヒーローも悪人もみんな仮面なのは、いつでも代役でできるように…だったそうです。

また撮影所を使う余裕もないので、宣弘社社長の自宅がスタジオ代わりになっていて、応接間が月光仮面の「祝探偵事務所」、車庫がどくろ仮面のアジトなどに使われ、撮影中は宣弘社社長夫人は邪魔にならないよう旅館に泊まっていたんだとか!

まさに手作り感満載の制作だったのが、日本のヒーローの元祖、月光仮面だったわけです。

 

でも、これって偶然ではないような気がするんですよね。

つまり、その状況だったからこそ、子どもたちが本気で熱狂する「月光仮面」が生まれたということです。まだテレビというメディアが若かった頃の、ワクワクするムチャクチャぶりがよく伝わってくるではありませんか! 予算潤沢、有名俳優と有名監督・・・では、果たしてヒット作が生まれていたかどうか?

 

メディアが魅力を放つのに最も大事なこと

メディアにとって最も大事な「ワクワク感」の出どころは、こういう若さとバカさにあるということを忘れてはいけません

ラジオの深夜放送が若者を熱狂させた頃の若さとバカさ、ゲームがまだ8ビットだったころの荒削りな面白さ、インターネットの出始めの頃のアメリカの学生のホームページのへんてこさ加減・・・覚えていますか? そのバカなひたむきさが無かったら、果たしてどれも大きな影響力を持つメディアになっていたかどうか。

いま、YouTubeやニコニコ動画でスターと呼ばれる人たちの映像を見ていると、そんな若さとバカさ、勢いが、今はここにあるんだなぁと実感します。マスメディアがとても太刀打ちできない勢いです。

しかし、一方でどんどん「よくある」パターンになっていきますし、けっこうな予算が回り始めると、なかなか当初のバカバカしさを維持できなくなってくるのも事実ですよね・・・。

 

まあ他人のことはともかく、これから番組型でメディア化しようというあなたが、予算も人材も不足していたとしても、それはまったく問題にならないということ、それが“月光仮面の教え”です

有名人がいなくても、したり顔のプロがいなくても、大ヒットは生まれるんです。

さぁ、チャレンジしましょう! 家族・友人も巻き込んで♪

 

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