ポストにはなぜ迷惑チラシが入り続けるのか

もう飽きた!と言われるかもしれませんが(^。^;...マーケティングの話しをもう少し続けましょう。

「そんなのうちの店には関係ないよ」なんて言わず、きっと役立つのでお付合いください。

 

マーケティングファネルの考え方

マーケティングの基本的な考え方のひとつに「ファネル」があります日本語で言えば上戸(じょうご)。最近あまり見かけない、上が大きな口、下が小さな口のアレです。

できるだけたくさんの見込み客をこの大きな口に入れて、どんどん絞り込んで顧客にする過程を表していますが、上戸だと上から入ったすべてが下の細い出口から出るので、本当は「砂金取り」の方が正確かもしれません。まずはざっくりすくって徐々にいらない砂を落して最後に金を残す…みたいな。

しかし砂は文句を言いませんが、人間は勝手にすくいあげられて「あ〜コイツは金じゃない」と捨てられたら怒りますよね。実際の人間はすくいあげることはできないので、何度も関心を引いてくるという形で「金(つまりお客)」になるかどうかを判断されることになります。

 

ん?何の話しか分からない? では具体例を挙げましょう。

頼みもしないのにポストに入っているチラシ。宅配のピザや弁当、クリーニング、学習塾、不動産…など様々。ポスティング業者に依頼して、入れられるポストにはとにかく全部入れているんでしょう。上戸の上の大きな口の考え方ですね。

ほとんどの家では即ゴミ箱行きですが、そのうち数軒から問合せがあり、何人かが実際に顧客になる・・・これが上戸の下の小さな口から出てきた結果です。

アプローチした人の何パーセントが顧客になるかは過去データでほぼ分かっていて、仮に1%とするとチラシのコストが配布含めて1枚20円なら、1%反応した1軒から最低2000円以上の粗利が出ればチラシDMをやる意味があるということになります。
ある程度粗利が出るなら、経費はかかってもやればやるほど利益が膨らむのでガンガンやれ〜ということになる。なので、このやり方は資金力に勝る方が優位です。

 

「メディア化」で迷惑なアプローチを変える

一方消費者の側から考えると、注文した1%にとってはそのチラシ情報は有益ですが、そうではない99%にとっては迷惑メールと同じですね。
ほとんど捨てられると分かっているのにこんなチラシをどんどん入れるなよ〜!と思っているあなた、企業はチラシが捨てられるのは了解済みなんです。わずかな「金(客)」を見つける砂金取りの大すくいをしているだけで、あなたはただの砂だったわけです。笑

つまり、従来型のファネル(上戸)マーケティングでは、興味ない人の迷惑を考えないで来ました

中小企業やお店の経営者には、こういう広告やDMなどの手法を嫌う人が多いですよね。うっとうしいことはしたくない、と。しかし、マーケットに何かの形で自社の情報を知ってもらわないとビジネスにならない。ここが問題です。

エリア人口が減り需要が小さくなっているところに全国ブランドが出店し、マーケティングを駆使してお客を集めたらこちらはどんどん厳しくなります。相手に「その手は使うな」とは言えません。

 

なるべく迷惑にならない形で、効率的に自社のターゲットに情報を受取ってもらうのにはどうしたらいいか?

そこで「メディア化」です。

 

どちらにしても、多くの人に情報を受取ってもらわねばなりません。
迷惑にならない形にするには…

  1. 相手が迷惑と思わない形にする

  2. 相手が自分の意志で受取るようにする

ということではないでしょうか。

 

例えば、「チラシ(広告)」ではなく「情報紙(メディア)」にするわけです。

 

持って帰ってもらえる自転車ルールの啓発パンフ

富田が福岡市との共働プロジェクトで、「自転車のルール・マナー“安全5則”を知ってもらうチラシ」を企画したことがありました。

それまではなるべく文字を減らして一枚ものにしたチラシを作っていましたが、富田は敢えてページものにし、しかも文字数はずっと増やしました。「映画のパンフレットみたいな自転車ルールの啓発ツール」を作ることにしたのです。

「僕らのフクオカ愛チャリ物語」と題し、福岡の街でモデルを使って映像的な写真を撮り、そこに映画のあらすじを書くようにストーリーを仕立て、そこに「安全5則」も含めて自転車の交通ルールの話しを織り込んで行きました。

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街頭で配布すると、明らかに受取ってもらう率が違います。また、その場でちらっと見ただけでは読めないので、多くの人がかばんに入れてくれます。

お店などに置いてもらうにも、いかにも自転車のマナー啓発チラシという形とは明らかに違います。そして面白そうなものが置いてあると、気になる人は自分から持っていってくれます。

 

これは、紙を使った例ですが、インターネットを使ってやる場合も同じです。
めったやたらに宣伝メールを送ると嫌がられますが、その時期に自社のターゲットが知りたいであろう情報を厳選して、役に立つし面白いし…といった形でWeb特集を作り、「この季節、この情報を知りたくありませんか?」という呼びかけを、メールやFacebookなどソーシャルでしてあげるのです。あくまでお客さんの興味を喚起するやり方で。

イメージとしては、電車中吊りの雑誌広告です。そして自社Webが雑誌本編。
これが、最近いろいろな企業が取組んでいる自社のホームページのメディア化:オウンドメディア戦略です。

ここで、リアルなお店がある商売なら、さらにお店自体を雑誌本編の特集みたいにできればもっと良いでしょう。もっと言えば、その場合、雑誌型のメディアにしていくよりも、放送型のメディアに近づけて行った方がやりやすいし影響力も高まって行く…のですが、その話しはまた別途詳しくしていきましょう!