トミタブログ

仕事する場所と暮らすまちを分けて考えられるようになると…

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8月7日(木)の11時半ごろから実施する、cross fmと北九州市広報室のコラボ企画「2014年北九州の旅–通好みの街をゆく–」の第2弾は、「移住者目線でめぐる旅」。

前回の、「超高速!参勤交代」ヒット中の映画監督 本木克英さんに続いて、今回はこの春に小倉に移り住んだばかりというYahoo!ニュース北九州編集室の皆さんを案内人に、小倉のまちを生旅します。

http://www.ustream.tv/channel/kitakyushuodyssey

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今回の企画、最初は「自然が好きな都会人」というもう少し曖昧なテーマでした。
北九州という街の特徴である大きな都市なのに豊かな自然がすぐそばにあるという話を、最近東京あたりから移り住んできた人に語ってもらえばいいかと思ったのです。

そういうテーマですから、いわゆる有名人ではありません。なので今回は「時代性」の切り口を鮮やかにせねばと思いつつ、なんとなくまだ曖昧なコンセプトでした。

そんなとき、Yahoo!ニュースの編集の人たちが、日本で3番目の分散拠点として小倉に来たらしいという話を聴いて、がぜん僕の企画は具体的なイメージを持ちはじめました。

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言わずと知れたYahoo!ニュース。各ニュースソースとの契約をもとに、何かの比率で自動的にYahoo!のトップ画面に反映されるのかと思いきや、実際には実にアナログな泥臭い作業をしていました。なんと全てのニュースソースの記事に編集部員たちが目を通し、日々刻々ネット上のチャットルームに集まって、どのニュースをトップにだすべきか、その際の見出しはどういうものが適切かを議論して、Yahoo!のトップに送り込んでいるという、新聞社の最終面付けを24時間やっているような作業なのです。

ですから、ニュース編集室のメンバーはシフト交代制で24時間誰かが稼働しています。
しかしどこに居るかは関係ない。仕事はオンライン上のチャットルームでするので、六本木だろうが小倉だろうが同じ仕事をしているわけです。

これって、非常に面白いことだと思いませんか?

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構成にあたって、私はYahoo!の皆さんとなんどもメールやり取りをし、彼らの中にある興味を感じようと試みました。そしてそのうちに、ようやく上記のことの意味を実感するようになったんです。

主な仕事場をネット上に持っている人・・・プログラマ、デザイナー、ライター、ブロガー、ネットショップオーナーなど、彼らは働く所と住む所を切り離して考えられる人たちなのです。快適なネット環境さえあればどこで仕事をしてもいい。ときどきは顔をあわせてミーティングや交流会も必要だけど、そのときは十分に安くなってきたLCCを使ってひとっ飛びすればいい。

フリーランスじゃなくても、それは会社でも同じです。
むしろ会社こそ、優秀な人材と、業務のベースとなる仕組みはある程度分散させておいた方がリスクが減る。

今の大企業では、オンライン上のシステムで決済するところがほとんどでしょう。昔のように稟議書のハンコを押して回るなんてまずない。連絡も報告も相談も、ログが残るMailや社内システムを使うのが基本。つまりマネージャーや役員クラスの人間は、ほとんどオンライン上で仕事をしているわけで、IT戦士じゃなくてもそういう人は十分働く場所と住む場所を切り離せるのです。

東日本大震災以降、分散拠点を各社進めているのは分かってはいたものの、そこまでストンと落ちていませんでした。

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ずいぶん昔、通勤ラッシュが無くなるなんて想像もできなかったバブル時代に、僕は通信の企業に勤めていました。

その頃、今後通信の発展によって在宅勤務者が増え、サテライトオフィスが増える・・・なんて話がありましたが、当時のイメージでは満員電車の上流である都心近くのベッドタウンにそのサテライトオフィスがある感じ。どことは言いませんが、そのベッドタウンはあまり魅力的なまちとは言えません。

本来は多様な要素をもち、住と仕事と遊びと祭り・・・歴史と文化とに裏打ちされたのが「まち」というものでしょう。しかし、都心近くの満員電車通勤に便利な鉄道駅の周辺に急速に作られた「まち」は、疲れて帰るお父さんの寝場所と子どもが育つある程度の安全性が最低限担保され、同じような家や大きなマンションに鉄道会社の資本系列のスーパーがある“便利な街”として整備されたのです。

そんなまちに、サテライトオフィスができて、ずっとそこで働くなんて楽しいんだろうか・・・。漠然と僕はそう感じていました。

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しかし、現実に来た未来では違っていた。

仕事をする場と住む場を分けて考えられるようになった人たちは、いま「昔ながらのまち」に移り住もうとしています。

逆に見れば、一時は瀕死の状況に近かった「昔ながらのまち」も、そうした人たちに刺激を受け、自らの価値を再発見して元気を取り戻しつつあるんです。

こういう形で人材が流動化して、それぞれが刺激しながら次の時代へ進んでいくなんて、なかなか面白いではありませんか。

 

一方で、機能重視・便利追求で急造された「ベッドタウン」もそれなりに年数を経て、短いながら歴史を重ね、少しづつコミュニティを育てながら「本物のまち」へと変化してきている。これも非常に面白い流れです。

歴史ってこうやって変わっていくんだなぁと潮目を見るような気になります。

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こうしたことどのくらい感じられる番組になるか分かりませんが、

「2014年北九州の旅〜通好みのまちを行く〜」

第2章 移住者目線でめぐる旅

USTREAMで明日11時半ごろから出発します。

 

アーカイブも残りますので、あとでも見られます。

よろしければ、ちょっと覗いてみてください。

http://www.ustream.tv/channel/kitakyushuodyssey

 

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