トミタブログ

地方創生に本気で取り組むなら「どこでも同じ」を探すといい

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地方創生を考えている行政の皆さん、「うちのまちに来てくれたら・・・・する」という“条件の大盛り”ばかり考えていませんか?

しかし、そのアプローチはなかなか功を奏さないでしょう。まず「あそこオモシロそう」「あの街、何となく好き」という<気持ちの初動>をさせる必要があります。

もちろんそこが一番難しいのですが、それに意外に簡単に取り組めるアプローチ方法があります。

 

ハマりがちな落とし穴

  • うちのまちに来てくれたら、住宅を支援する
  • うちのまちに子連れで来てくれたら、・・・・を支援する
  • うちのまちで子ども産んだら・・・・・を支援する
  • うちのまちで・・・・したら・・・・
こういう「条件の大盛り」が各地で盛んにアピールされています。しかし、それで本当に都会の若者がそのまちに行きたいと考えるでしょうか?

少子化対策も同じです。みんな、税金がおトクだから子どもが欲しくなるわけではありません。人の気持ちは“条件”からは動かないのです。

もちろん「条件」は、気持ちの初動ができたあとはとても役に立ちます。それが決め手になることもあります。しかし気持ちの初動がされなければ、「条件」は力を発揮しないのです。恋愛と同じことです。

 

ではなぜ、気持ちを揺さぶれないのでしょうか?

答えは簡単で、みんな同じようなことをするからです。オリジナリティがない。
ここでしかないことが重要なのです。

 

成功事例のコピーがもたらす副作用とは

「成功事例」の研究は大切です。そのエッセンスを学ぶ点では。
しかし、そのままコピーして当てはめてしまうと残念なことになる可能性があります。

「B級グルメ」も「○○コン」も「ハシゴ酒」・・・、そういうどこかでうまく行ったイベントパターンをコピーすれば、そこそこ地元の人の参加があってちょっとした「賑わい」が作れることでしょう。それなりに賑わうということは、喜んでいる人がたくさんいるのは間違いありません。

「それでいいじゃないか」「何が問題なのだ?」

いえいえ、決してダメだと言っているわけではないのです。やったことの意義はあります。

ただトミタはこうしたイベントが次々あるまちには少し懸念を持ちます。心配になります。ある種の人たちの気持ちがそれで離れていくことがあり得るからです。独自なものを愛する人たちです。独自なものを生み出す人たちです。市民の中でもそとの人でも、そういうタイプの人の興味が離れていくことが心配なのです。

オリジナリティを生み出す人が離れていくと、まちでも企業でも、早急にワクワク感が失われていきます。ここが、「成功事例のコピー」をしてある程度の賑わいをつくることの副作用だということは認識しておくべきではないでしょうか。

 

オリジナリティをアピールする意外と簡単な方法

「そんなこと言われても、なにでオリジナリティを出せばいいんだ」
「個性をアピールするといっても、オリジナルを生み出すのは大変」
「しかもそれが話題になるなんてひと苦労だぞ」
ちょっと何か独自企画をしたことがある人ならそう思われるかもしれませんね。ごもっともです。

ではここで視点を変えて、独自性が際立ちやすいテーマは何なのかを考えてみましょう。
要は、マスメディアとソーシャルメディア(ブログやTwitter、Facebook、LINEなど)で話題になって、外部の人(一般的には若者)が「あのまちって、ちょっと面白いね」「そういうまちって、好きかも」と思ってくれればいいのです。

いきなり「移住」まで考えさせなくても、まずは「聴いたこともないまち」や「普段1秒たりとも考えたことが無かったまち」から、「ちょっと魅力あるまち」に変わるだけで大きな進歩です。これを重ねていけば、本人がいつか動こうかな…と思った時に選択肢に入り、その時にこそ「大盛りの条件」は彼や彼女の背中を大きく押すことでしょう。

では、独自性が際立ちやすいテーマは何なのか? それには、

「どこでも同じようなもの」を探してみること。

「ん? どういうこと??」

例えば、佐賀県の武雄市がTSUTAYAとのコラボで大きな話題になったのは「図書館」でした。
「図書館」と言うと、だいたいどこでも同じようなイメージです。そこにばっさり手を入れたので企画が鮮やかになって非常に目立った。あれが例えば、美術館だとか陸上競技場などそれなりに各自治体で工夫をこらした変わったデザインや運営方法例がたくさんあるものだったらあそこまでのインパクトはあったでしょうか?

 

「常識」の高い壁を登ると、企画の光明が見えてくる

「どこでも同じようなもの」は、少し思い切ったことをするととても目立ちます。

しかも、どのまちに行ってもとても似ているもの・・・幸か不幸かたくさんありますよね!笑

公園、街のサイン類、ガードレール、市のマーク、市の歌、部署名や役職名、清掃車や市バス、職員ユニフォーム、市政だより、広報番組、なんとか式の式次第、テープカットの方法や段取り、住民票や戸籍のデザイン、役所や公共施設の休日や開庁時間、市長の公式写真や市長室・・・どこもかしこも似ています。

試しに、別のまちの人に聴いてみてください。あなたのまちの首長の公式写真とべつのまちの首長の写真をまぜて3択にしたときに、あぁあのまちの首長さんだったらこの写真の人でしょ!?と当てられるでしょうか。

 

「常識の壁」は高いほどチャンスです。「それを変更するには条例改正しないとできないんです」ということなら、きっと他の自治体でもそうでしょう。そこを変えたら他はなかなか追従できないはずです。

また、常識の壁が高いほど、変えれば目立ちます。ちょっと変えるだけで「あそこは面白い」と外の評判も起きますし、中にいるクリエイティブ人材の心もくすぐります。小さな子どもたちにも影響を与えていきます。つまり市民の意識が変わっていくということ。

「うちのまちは普通じゃない」「うちのまちは他と違ってオモシロイ!」そういう意識が芽生えれば、必ず本物の「地方創生」に繋がっていくことでしょう

 

行政の広報番組を仮面のヒーロー番組にしてみた

逆に言えば、「食」「祭」「文化」「名所」「歴史」・・・など王道のテーマは、みんな元々それぞれに独自性があります。だからアピールしても目立ちづらい。うちにはこんな「食」がある! こんな「祭」がある!!と、どこもかしこも主張していますから、マーケティングで言う<レッドオーシャン>、つまりライバルが多すぎるフィールドということですね。

しかし、不思議とそのアピール方法は実に「どこでも同じようなもの」です。

観光ポスター、パンフレット、ゆるキャラ・・・このまちがあの村であっても、知らない人にはまったく分からないPRが各地で再生産されていて、あぁデジャブ〜。

ここを少しだけ変えれば、少しの予算でかなり独自性のあるものができます

 

今年、富田が取り組んでいる北九州市の広報番組「修行のヒーロー」は、テーマ的には割合オーソドックスな市の魅力を伝える番組です。YouTubeの動画番組とcross fmでのラジオ番組を連動させて、市民+α…市外の人にも北九州市の魅力を少しでも伝えたいという企画。

第1回目は国の重要無形民俗文化財にも指定されている戸畑祇園大山笠がテーマでした。祭本番の賑やかな様子はよくテレビでもやるので、ここでは祭の裏舞台を支える地味な作業をする男たちをクローズアップ。

ここまでは普通です。よくある広報番組でいかにも取上げそうなネタ。
一つだけ富田が変えたのは・・・・レポート役を仮面のヒーローにしたのです。

北九州には、少々変わった仮面のヒーロー「キタキュウマン」という男がいて、彼は行政の企画ではなく自らヒーローとして生きていくと決めて実際にそれで生活しているオモシロイ事例なのですが、せっかくそんなオモシロイのがいるならそれをもっとみんなの人気者にすればお互いにメリットが大きいと思いキタキュウマンを起用しました。

 

関係者みんなを「面白さ」づくりに巻き込んで好循環が生まれる

ここで、単にキタキュウマンが普通のレポーターみたいにレポマイク持って「はい、皆さん今日はどこどこにやってきました〜」とレポートするのではまだ面白くない。それではただのコスプレです。

「仮面のヒーローはストーリーの中にいるからヒーロー。カメラの前ではあくまでヒーローとして振る舞わなければ意味が無い・・・」と富田は考えました。ファンタジーはみんなでウソを共有してこそ面白さが出てきます。サンタクロースはいるのです

そこで、大のオトナたちにみんな芝居に付合って頂くことにしました。この巻き込みによって、オリジナルな面白さが自分たちに生み出せるというイメージが広がっていきます

戸畑祇園大山笠の「総代表」や「総監督」という人たちは、コワモテの男たちを睨み一つで黙らせる男の中の男たち。そんな皆さんに何度もNGだしし、最初は照れながらだったのが最後には迫真の演技をしてもらって完成したのが、この“北九州市PR番組”『修行のヒーロー −キタキュウマンの弟子入り奮闘記−』。

東大山笠の皆さん、本当にご協力ありがとうございました!!おかげでかなりユニークなものが完成しました。

北九州など知りません・・というあなたもぜひご覧になって頂けるとうれしいです。



今年の祭本番、競演会の前にスタッフと一緒に東大山笠の宿にご挨拶に伺ったら、幸い「総代表」も「総監督」もみんな喜んでくれていました。(ほっとしたね〜、ジミーちゃん!)

このシリーズ、今年度中にあと4作品作る予定です。お楽しみに!

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