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日本人ノーベル賞受賞に思う、日本人の「文化教育」の大切さ

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日本人のノーベル賞受賞のニュースに国内は連日湧いています。

もちろん私も素晴らしいことだと嬉しくなったのですが、これで改めて思ったことがあるので、ブログに書き留めておきます。それは、日本人の発想はやはり独特だし、その独特の発想の元になっている「文化」を、グローバルな時代だからこそ、もっともっと意識して教育していかねばならないのではないかということです。

 

英語教育の前にすべきこと

日本でも英語公用語化が議論されるようになりました。英語が上手になることは、世界の人たちと直接会話でコミュニケーションができることですから、それは悪くはないと思います。どんどん勉強すればいい。

しかし、言葉以前にあるもの・・・価値観、美意識、世界観、ものごとの捉え方、を勉強せずに単に英語だけを学ぶのはいかがなものかと思うわけですね。

 

言葉は、人が意識したものを表すために生まれたものでしょう。

逆に言えば、ぴったりとした言葉が無いということは、その国の人たちのものごとの捉え方・感じ方の中には、そういう概念が無いということでもあります。

 

日本に「自然」は無かった!?

例を出した方が分かりやすいでしょう。

例えば、現代のキーワードの多くは明治以前の日本には無いものです。

「情報」も「社会」も「環境」も・・・「自然」ですら仏教的な“じねん”ではない我々が使う「自然」という言葉はありません。

面白いと思いませんか?

ここで分かるのは、日本人は元々、人とそれ以外の世界を区別せずに生きて来たということです。一方で西洋思想というのは、人の世界とそれ以外の世界をくっきり分けて考えます。

どちらが良いとか悪いと言う話ではありません。考え方の元が違うということです。これはおそらく日本だけのことではないでしょう。イスラムの人たち、アフリカの人たち、中南米の人たち・・・きっとみんな違うことでしょう。

そこを理解せずに、「自然」や「環境」を<英語>で議論していても難しいのではないかということです。

 

文化教育とノーベル賞

タイトルで言っている「文化教育」というのはそのことです。

美術や音楽の時間を単に増やすということではなく、そもそも文化とは何で、日本の文化はどういうもので、他の文化圏ではどうなのかということを徹底的にやらないと、今後ますますグローバル化する世界の中で、何やら決定的にまずいことが起きそうな気がするのです。

価値観、美意識、世界観、ものごとの捉え方・・・これらがつまり「文化」だとわたしは思います。共通する感じ方、考え方、善悪/醜美/幸不幸の基準というようなことです。

 

冒頭に戻れば、今回ノーベル賞を受賞した二人の先生方にも、とても日本人的な感じ方・考え方があるなぁと私は思いました。逆に言えば、もしも日本の「文化」が弱まっていれば、あの研究成果は出ていたのだろうか?と思います。

 

具体的にはどういう「感じ方」「考え方」「ものごとの捉え方」か? それを書くと長くなるので、それはまた今度書くことにしますが、ここでは日本政府か地方自治体か大学〜幼稚園まで教育関係者か、はたまた「親」なのかも分かりませんが、そういう今後の日本の教育を担う人たちへのご提案として「文化教育」のことをもっと真剣に考えませんか?ということを挙げておきます。

 

日本の教育に携わる皆さまへ

単純な英語翻訳自体は、これからますます「技術」が解決してくれることでしょう。しかしマズイのは、その翻訳の元にある感じ方・考え方の文化が英語=西欧文化にあることです。

別の文化の言葉をつかって日々感じ、考え、発想するようになると、元々日本の文化が私たちに見せてくれていた世界は幻のように見えなくなっていくのではないでしょうか。

いえもう既に相当そうなっているのでしょう。いまの我々には幻想や夢まぼろしごとだとしか思えないことが、実はかつての日本人にはごく普通に見えていたのかもしれません。

ノーベル賞の大村さん、梶田さんの発見は、何かその世界と通じるような気がするのです。

 

日本の言葉を英語にしたときに変わってしまったり表現しきれない部分がいったいどこにあるのか、逆はどうなのか・・・ということを、常に意識するだけの知識と経験と能力を身につける必要があるのではないでしょうか。

それは、そんなに難しいことではありません。知れば知るほど面白くてワクワクするようなことでしょう。そして外国人だって実は、その「感じ方、考え方の違い」を求めているのではないでしょうか。

自分たちの発想ではまず出てこなかった発想の元を、感じ、学び、なんとか理解していくことは大きな喜びです。それこそが本当の意味でグローバル時代に必要な人材教育の根本なのではないかと私は思います。

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