トミタブログ

東京ディズニーランドが苦しんでいる理由をメディア化視点で考えてみた

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メディアプロデューサーでメディア化支援アドバイザー トミタプロデュース富田剛史です。

ディズニーランド(TDL)の業績に陰りが見え始め、一方でユニバーサルスタジオ(USJ)は好調と聴きます。
実際に数字を見ると、TDLの方がやっぱりでかいし、長年の傾向としては上がっていますからさほど悪い業績ではありませんが、確かに「ここで間違うと曲がり角かもな〜」とふと思いました。

僕は前に行ったときの記憶がないくらいあの王国には行ってないひとなので、誠に余計なお世話ではあるのですが、ちょっとだけ思ったことを書きとめておきます。

 

まずは、メディアの変化と時代の変化を把握しましょう

最近のTDLとUSJの話題は、よくマーケッターが取上げています。

よく話題になるのは、ワンデーパスの値段はほとんど一緒だけど、年パスがUSJの方が圧倒的に安い・・・なんていう価格戦略や、新コンテンツの投入タイミングなどです。

まぁそういうことはもちろんあるでしょう。大事な作戦です。
しかしTDLの経営側がそういった視点ばかりでマーケティングをしていると、どんどんUSJの土俵に乗っかっていくのではないかと思ったのです。トミタプロデュースでは「メディア化」の観点からこの問題を考えてみます。

 

TDLが開業した1983年は、もちろんマスメディアの時代でした。インターネットはおろか携帯電話も普及していない時代です。

USJと東京ディズニーシーが開業したのは同じ2001年。インターネットはだいぶ普及してきていますが、まだ発展途上です。楽天市場スタートがこの2001年で、それまでは大手商社や百貨店などが何度もネットモールにチャレンジしますが成功せず、楽天によってようやくネット通販が現実のビジネスとして着地していきます。

携帯電話のインターネットもありましたが、当時はもちろんガラケー。iモード、EZwebがスタートしたのが1999年で、2001年には相当な「公式サイト」「勝手サイト」が流行していました。しかし、それはあくまで「携帯サイト」でしたが。

2003年に起きた大きな変化は、「ブログ」の普及です。この年に、はてなやlivedoor、シーサー、ニフティなどが次々とブログサービスをスタートし、一般の人による情報発信が徐々に始まっていくのです。
若者の起業によるITベンチャーがマザーズ市場を賑わし、2006年にはlivedoor事件や村上ファンド事件なども起きて、ネットとITの周辺の右肩上がり神話はちょっとしたプチバブル的な時代感がありました。

 

しかし、そうはいってもまだ、当時は「インターネットの中の話」でした。PCにせよ携帯電話にせよ、ネットにひんぱんにアクセスしている人は「オタク」と呼ばれており、街のリアルな情報とは繋がっていなかったといっていい。それの潮目が完全に変わるのが2006年に起こった小さな変化だと富田はみています。

何か?

2006年の夏に、auのEZwebにGoogleの検索窓が搭載されたのです。その後、検索窓標準搭載の携帯電話は続々と増えていき、ドコモも巻き込み、携帯で検索はどんどん普及していきます。
そして当初は「携帯サイト」を検索していたのが、マシンスペックや回線スペックの向上によってインターネットの全ての情報を人々は携帯電話で検索できるようになっていきます。

 

携帯電話でインターネットを検索することで何が変わったのか?

答えは、インターネットがついにリアルな世界と繋がったということ。それまでは「ネットの中の話」だったインターネットの情報が、即時性と位置情報とがある携帯電話検索によって、「リアルな街情報」と繋がったのです。

提供側の「街でリアルビジネスをしている人」も、当然ながらどんどんインターネットに対応します。ここから以降は、インターネットによるマーケティングが、ネットビジネスだけでなくリアルビジネスにとっても最重要な集客ノウハウへと変わっていきます。

そして、2008年頃からのスマホの普及とSNSの爆発的普及によって、「オタク」のみならず、「みんな」といっていい老若男女が、インターネットにいつも繋がった状態に変わっていきます。
今や、ニュースも、街の情報も、流行の○○○も・・・、最初に知るのはSNSで友だちが書き込んでいた情報からということが非常に増えました。そのファーストコンタクトから先も、そこでシェアされている公式サイトやネットメディアの記事で詳細を知り、さらに気になればキーワードを検索して深掘りする…という行動形式は、多くの人にとって日常になったといっていいでしょう。

つまり、2006年〜2008年、今から約10年前に、情報流通メディアの主役が、マスからインターネットへと完全に交代したといっていいと思います。あと数十年たてば、日本史の教科書にも太字ででているかもしれません。

 

ディズニーランドに何が求められてきたのか

TDL公式サイトより

TDL公式サイトより



そんなメディアの変化、時代の変化とディズニーランドの業績に何の関係があるのか?
関係おお有りです。なぜなら、Disneyの発展はメディアの歩みにより添ってきたからです。

ディズニーのキャラクターが人気があるのはなぜでしょうか?

もちろん可愛いからですが、可愛いものは他にもたくさんあります。
メディア論者の僕からすれば、そのポイントは「露出量」「接触量」と「心理占有時間量」にあるといえます。

人は基本的に、たくさん接するもののことが好きになるのです。
直接触れられる機会は限られるので、ここでメディアの使い方がとても重要になります。

ディズニーはそんなメディアの使い方が極めて巧みだったといえるでしょう。

テレビアニメ、映画、絵本、おもちゃ・・・いろいろな形でキャラクター接点を作り、そこにストーリーをのせ、音楽という脳内粘着性の高いメディアも駆使して、どんどん「心理占有時間」を伸ばしていきます。その結果、ファンは理屈抜きに「好き」になるのです。そんなファンがTDLに求めているのは「世界観」であってアトラクションではないはずです。

一方で、USJもベースは映画のテーマパークですから、おなじみの映画キャラがたくさん登場するのでしょうが、それぞれの世界観も違えばストーリーも違います。なので、根本的には「アトラクションを楽しみに行く場だといっていいでしょう。そこは遊園地であって「夢の王国」ではないのです。

TDLとUSJはよく比較されるわけですが、そういう意味でまったく提供しているものが違うといっていいのではないでしょうか。

 

TDLはインターネット時代のメディア戦略を見直したほうがいいのでは?

まことに余計なお世話ですが、TDLとUSJの明暗などといわれている「潮目」が、先に書いた「情報流通メディアの主役交代」の潮目の時期とぴったりあっていることが気になります。

USJは開園後いったんは危機的状況を迎えますが、SNS時代になってから勢いを増してきます。それはおそらく、来園者が楽しんだ様子が拡散されやすい魅力をもっていたからではないでしょうか。どんな点が・・・の詳述はしませんが、容易に想像できます。

TDL公式サイトより

TDL公式サイトより



一方で、ディズニーの「露出」は、マスメディア時代に比べてぐっと減っているのではないかという気がするのです。

ディズニーといえば、キャラクターの管理に厳しい企業として有名です。自社以外でそのキャラクターを自由に使えるのは、高額なライセンス料を支払える大企業だけですが、その大企業たちがマスメディアの時代にはディズニーキャラを使って、「大衆」に向かってマスコミでバンバン宣伝をしていました。

ところが、いまやそんな「大衆向け」に「マスコミ」でバンバン宣伝をする大企業はほとんど無くなってしまいました。この露出減は、ディズニーにとってはとてつもない痛手なのではないでしょうか。

 

インターネット時代は「生」の時代

では、インターネット時代にディズニーはどうやって「露出面」を増やし、またファンたちの「心理占有時間」を増やしていけばいいのでしょう? 答えは、「キャラクター使用ライセンスのハードルを下げる」ではないかと思います。熊本県のくまモンがあれだけ人気になったのは、もちろんキャラクターデザインや設定の秀逸さはあるのですが、何といっても商用非商用問わずに自由に使用できるようにした」ということが大きいでしょう。

米本社がライセンスを握るTDLにそういっても難しいことは重々承知していますが、しかしディズニーの魅力の根本を思えば、20世紀のやり方そのものでライセンスビジネスを組立てているのでは厳しいのではないかと思います。

 

音楽業界では、やはりこの「メディアの主役交代」の時期に、CDの市場規模をライブの市場規模が超えています。CDやレコードは、元はといえばライブにお客さんを呼ぶための宣伝物としてできてきたものですが、それがいつの間にかライブ以上のビッグビジネスとなっていた20世紀。

ところが、今また時代の潮目は代わり、ITとインターネットの進化によってCDはストックしておく必要がなくなって、それまでは違法コピー潰しにやっきになっていた業界も、コピーのしようのない「ライブ」へとビジネスの軸を移しているわけです。

 

TDLとUSJの話に戻れば、USJはより「生」の魅力を演出し、お客のSNSによってそれを生拡散できているのではないかという気はします。

しかし、キャラの愛され方やオリジナリティは圧倒的にTDLに分がありますから、たとえば非商用の「ライセンス」の使用をどんどん助長する仕組みをつくることと、TDLでの生体験のワクワク感をアトラクションの魅力ではなく世界観の魅力をアップすることでアピールできれば、今後もますます強い形になっていくのではないでしょうか。

TDLの幹部の方、画像を無断使用してごめんなさい。問題あればすぐに消します。
こんな私でよかったらお手伝いしますのでいつでもご連絡ください。
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