メディアプロデューサーでメディア化支援アドバイザー、トミタプロデュース富田剛史です。
政府は、外国からのお客さんのことを「インバウンド」と、何かの「現象名」のように呼び、今年はいよいよ何千万人の大台突破!と数字のかたまりで捉えています。地方創生の旗振りの下、各地の自治体でも「対策本部」が創設されて、まるでインベーダーか魚群の群れかと「攻略」しようと躍起です。
その外国人たちは、日本に興味をもって自らの意思で、自らのお金で来ようとしてくれている一人一人の「人間」であることはつい忘れられがちです。というよりも、想像がつかないのかもしれません。何しろ、日本ではこれほどたくさんの外国人がこの国に入ることは、この国の歴史が始まって以来なかったのですから。
日本は「世界の文化ガラパゴス」である
大まかに言えば、日本文化ももちろん、中国や朝鮮半島の影響を受けた東洋文化ですが、実際はかなり違います。いうなれば日本は「世界の文化ガラパゴス」だといっていいでしょう。
ガラパゴス・・・いうまでもなく、進化論のダーウィンが研究し独自の生態系が残っていたことで有名な島です。そして日本はまさに文化のガラパゴス島、そのぐらい変わっていると思うわけですが、当の日本人はその希少さをあまり意識していません。ガラパゴス等の生物たちが自分たちが変わっていると思わなかったのと同様です。
なぜ日本がこれほど独特の文化を集積することになったのか? 簡単ながら富田考察。
1、四方を海に囲まれた島国だったから
2、日本語という特殊な言葉が暗号になっていたから
3、世界が大航海時代に入って大交流した時代にすっぽり鎖国したから
4、250年以上戦争が起きない江戸時代を武士が治世し、独特の精神性が高まったから
くわしくはまたの機会にするとして、そんなわけでチョンマゲ、きもの、畳に寿司・・・の独特な日本文化が熟成していくのです。
別に個人的には「日本文化礼賛」でも「日本文化万歳!」でもありませんが、独特で変わっているのは面白いなと思います。
日本文化の特徴こそ、いま世界が抱える問題を解決するキーなのではないか
そして、その日本文化の特徴として、富田は以下のようなポイントに注目をします。
1、水の文化
2、無常観の文化
3、祓い清めの文化
4、「生」の文化
5、八百万の神の文化
また別の機会にそれぞれ詳しく考えてみたいと思いますが、これらがとても独自性があると思います。
そして今回ひとつだけいっておきたいのは、面白いことに現代世界が抱える問題を解決するキーに、これら日本文化の特徴が役にたちそうな時代になってきているということ。
そういう話を書くと、あなたも「日本凄い」の人ね・・・と言われそうですが、凄いかどうかはともかくユニークなのは確かで、日本文化が優れているからというより、たまたま時代がそっちの方向に向いているという気はしています。
どういうことか?
情報メディアの主役がインターネットの時代になり、乱暴にいうと「所有」「貯める」ことの意味が急速に低下していき、「生=ライブ」の価値が上がっています。音楽の世界では、CDの売り上げをライブが追い抜いたことは前のブログでも書きました。
昔なら、立派な応接間の書棚にブリタニカの百科事典をずらりと並べ、ローボードにはブランデーやウイスキーの何年ものが揃う・・・というのがお金持ちの家の証明みたいな感じでしたが、そんな話を若者にしても「は?」ってなものです。何がいいたいのかというと、そういう「所有」の見せびらかしみたいなことに価値を感じない世の中になってきているってこと。
しかし、昔よりも明らかに辞典を引くことは日常的になりました。スマホでググってすぐウィキペディアという時代です。情報の消費自体はライブになっているわけです。
「情報」だけじゃなく、クルマもお部屋も洋服・・・といった「モノ」も、会ったこともない他人と都合のいい時にシェアできるようになってきました。もうこの傾向に歯止めはききません。
これからの時代により必要になってくる価値観
ところでここで、「前時代の発想」をしている人にはなかなか超えられない壁があるように思います。
それは、シェアの文化の行き着くところは、「完璧なサービス」ではないということ。インターネットが提供する情報も、誰かとシェアするモノも、何もかも「絶対」ではないことを前提に、みんなが信頼しあい、許容しあい、寛容さをもって運用しないことにはどうにもならないわけです。
そして、「エコ」も「コミュニティ」も「シェア」も「宗教的寛容さ」も、意図的にではなくたまたまその風土と歴史から持つようになり濃厚に独特の発展をした『日本文化』にこそ、面白いことに今この時代に世界が向かう方向のヒントになることがたっぷりとあるだろうな・・・という気がしてなりません。
一方で、その奇跡的に残ったユニークな文化の貴重さを、我々日本人自身がはっきり認識できないままに、自ら捨ててしまいそうになっていることもまた残念ながら事実ではないでしょうか。
そんな時に、有史以来初めて大量の外国人がやってきているわけです。
少なくとも多少は日本文化に興味のある彼らは、実際に触れてみて、我々以上にくっきりとその「文化の面白さ」「現代へのヒント感」を感じているように思われてなりません。
ということで、今年度はいろいろな人たちと一緒に、この「日本文化の特徴」を考えてみたいと思っている富田です。もしよかったらあなたもご一緒に。