トミタブログ

羽生結弦選手の金メダルの滑りに見る日本文化の特徴とは

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※画像はNHKの特設サイトのキャプチャ画面です

ピョンチャンオリンピックの羽生結弦選手、いやぁ、もう異次元の存在でした。そして、日本にとってとても重要な仕事をしてくださいました。

単に金メダル獲得ということではありません。
彼の活躍のおかげで世界の人はまた「日本文化」の面白さに興味を持ったに違いないということ。

はっきり意識はしなくても、日本の文化の奥深さが心のどこかに刷り込まれたはずです。

そのポイントがどこにあったか、トミタブログでは富田なりの見方をお伝えしましょう。

 

ショートとフリーで西洋的表現と日本的表現を分けた羽生結弦の演舞

ピョンチャンオリンピックで、ショートプログラムとフリーとでは羽生選手はまったく違う演舞を見せています。

お気づきでしょうが、SPではいわゆる西洋的な表現、そしてフリーではぐっと日本的。

 

NHKのWEBアーカイブに、いまはノーカットで映像があるのでリンクを貼っておきます。
(いつ公開終了になるか分かりませんが)
上記に書いたことを意識して改めて見てみてください。面白いですよ。

ショートプログラム
https://sports.nhk.or.jp/video/element/video=35722.html

フリー
https://sports.nhk.or.jp/video/element/video=35848.html

 

では、どこがそう感じさせるのか?

もちろん、音楽や衣装はそうですね。
陰陽師 安倍晴明(あべのせいめい)を身にまとった演舞ですから。

 

羽生結弦の腕と手のひら、直線表現と回転が生み出す日本の美

僕が注目したのは腕と手です。
腕の振りがSPとフリーとでは全く違う。

SPの方は回転する時も滑るときも腕は優美な弧を描いています。

※ https://sports.nhk.or.jp の動画キャプチャ



しかしフリーになるとその腕は、ピンと直線的に伸ばされます。

腕を直線に伸ばしたままで回るので、羽生選手の手の先の円弧は彼の腕が描ける最大になって、よりその動きは
ダイナミックなものになります。

※ https://sports.nhk.or.jp の動画キャプチャ



 

そして、その効果に輪をかけているのが、あの和服的な衣装です。

和服は直線裁ちです。ちなみに、舞いに使われる扇も直線。

その直線がくるくると舞った時、とても大きく見えるというのが日本の芸能の特徴ではないかと思いました。

これは、侍の立ち回りもそうですし、鼓童などの和太鼓の演舞でも同じです。

そしてさらに、指先や手のひらから発される「気」。

これが、
ピッと伸ばされた時は、天の果てまで続く一本の光線となり、
パッと手首を曲げてトメの形の時は、逆に天からの光を集めているような・・・

そういうイメージを、(はっきり意識はしなくても)世界中の誰もが持ったのではないでしょうか?

すると、伸ばされた腕の長さどころではなくとてつもなく長い何かがくるくると舞うイメージとなって、当然その先端スピードはものすごく速く、円弧はどこまでも広いものに感じる・・・

すごく静かなのに、すごく力強い。

この感じが、日本の文化の底にある感覚なのではないかと思います。

 

これからの企画者は日本文化の特性を知り、
自在に取り込むことで世界が魅きこまれる

日本の文化の底にあるこの感覚。
「直線と円弧」の他にもたくさんありますが、それは例えば和食や建築物、書画、茶の湯から着物や下駄・草履まで、共通のコンセプトで貫かれています。

これが何かを知りたくて、日本が好きな外国人は来るのでしょう。

この感覚をまとったものの一つに、ある種の「ゲーム」があるように感じます。

ヒーロー物も一緒ですよね。
実写もアニメも。
あの世界、日本のコンテンツが強いのは日本の文化に根ざしているからでしょう。

 

そういう意味では、今回の羽生結弦選手の金メダルは、スケートによってのみもたらされたのでは無いといえます。もちろん、音楽も衣装も演舞構成もすべて合わせてなのですが、もっといえば「日本文化」という最強にユニークな文化の力に、世界の人を魅きつけたのが勝因であったのだと思います。

今後、何を企画するにしても、「この日本文化の持つ感覚」を知り、意識して使えるようになることはとても必要ではないかと感じました。スポーツでもコンテンツでも、一般ビジネスでも地方創生でも、「日本文化」を理解してコンセプトに取り入れ、その表現を演出し、優劣ではなく魅力によってコミュニケーションを設計できる人材が必要でしょう。

それこそまさに、プロデューサーです。